改築・更新における省エネ機器の適切な導入のための計画・設計に関する技術資料
概要
下水処理場の改築・更新にあわせた省エネ技術の導入手法を示すことを目的として共同研究を行った。 本技術資料は、従来は劣化に主眼を置いていたストックマネジメント計画において、省エネ技術の導入促進に配慮した手法を整理するとともに、下水処理場で消費電力量の多い主ポンプ、送風機(散気装置等を含む)における省エネ技術導入のケーススタディについて整理したものである。委員会における審議
共同研究期間:令和2年4月~令和3年3月 共同研究者:千葉県、富山市、熊本市、株式会社三水コンサルタント、株式会社東京設計事務所、中日本コンサルタント株式会社、株式会社日水コン【委員会における審議・指摘事項と回答・対応】
本共同研究について、各委員会における主な審議・指摘事項とその回答・対応を下記に整理する。
◆水処理・資源化技術評価共同研究委員会における主な審議・指摘事項と回答・対応
年度 | 回数 | 開催日時 | 主な審議・指摘事項 | 回答・対応 |
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R2 | 1 | 7月16日 | ストックマネジメント計画について | ストックマネジメントガイドラインを踏まえて、ケーススタディを含めた技術資料とする。 |
送風機の対策について | 短期的な対策と長期的な対策について総合的に判断して検討する。 | |||
散気装置の散気水深と酸素移動効率について | 散気装置の更新では、散気水深の影響についても考慮する。 | |||
2 | 11月19日 | 実績データの解析について | 設備毎の電力消費量に関する日報データを有する処理場では日報データを用いて解析する。日報データでは不足する場合は、電力測定を行う。 | |
消費エネルギーの標準値との比較について | 標準的な消費エネルギーとの比較は設備区分別に比較する。 | |||
運転改善による対策について | 運転する設備の組合せや間欠運転によって、削減可能なポテンシャルをみて運転改善方策を提案する。 | |||
省エネ機器への更新による評価について | 維持管理費と建設費を合わせてコスト評価する。 | |||
3 | 2月18日 | エネルギーの影響度について | エネルギーの影響度は、設備区分毎のスクリーニングのため、区分別に評価する。 | |
ストックマネジメントについて | 劣化だけで評価しているストックマネジメントに対して、省エネの視点を入れた改築更新手法を提示する。 | |||
ケーススタディについて | 主ポンプと送風機、散気装置を対象としてケーススタディではLCCを試算している。 |
◆技術委員会における主な審議・指摘事項と回答・対応
年度 | 回数 | 開催日時 | 主な審議・指摘事項 | 回答・対応 |
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R2 | 1 | 8月17日 | 人口減少の時代での省エネ対策について | 運転方法の改善による省エネ対策を行い、将来の更新時に適切な機器を適切な能力で導入する対策がある。 |
リスク評価について | 既存の劣化リスクに省エネを組込むのは無理があり、劣化の観点と省エネの観点のそれぞれを評価する。 | |||
標準値との比較について | 処理場毎の特性を踏まえたシナリオによるケーススタディが必要である。 | 2 | 12月7日 | 揚程とポンプ消費電力の回帰式について | 回帰式は、機構がこれまで行ってきた「省エネ診断」等における主ポンプの単独定格運転におけるデータによる回帰式である。 |
省エネリスク評価について | 改築更新を考える際の優先順位に省エネの視点入れるため省エネリスクを評価する。 | |||
3 | 3月5日 | LCC検討対象期間について | 人口減少の影響など、LCC検討対象期間を長くする留意点について整理する。 | |
江戸川第二終末処理場のケーススタディについて | 低圧損メンブレン散気装置の導入により送風量が減るので、送風機が廃止となり必要台数が減る。そのため、設備費も減ってLCCが小さくなる。 | |||
技術更新による省エネ効率向上について | 長期の検討対象期間の中で技術更新により省エネが進めば、原単位当たり消費電力量は更に低減できる点について留意する。 |
◆パブリックコメント
意見募集期間:2020年5月10日~2020年5月17日
【意見と回答】
No. | 頁 | コメント | 機構からの回答 |
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1 | 3 | §3 適用範囲にポンプ場で参考となることを記載すべき。 | 主ポンプの省エネ対策はポンプ場においても参考となる旨を解説に記載します。 |
2 | 21 | 「技術革新による陳腐化」とは具体的どのような状態を指すのか、具体例を記載して頂きたい。 | 技術革新による陳腐化について、表現を修正します。 |
3 | 21 | リスク評価の結果、仮に「処分制限期間未満(経過年数はさほど経過していない時期)」で改築対象となった場合、交付金の対象となるかどうかの判断基準も記載して頂きたい。 | 改築に関する交付金の対象は、「下水道ストックマネジメント支援制度」の交付金交付要綱に定められています。処分制限期間との関連部分については、p22に一部抜粋して掲載しています。 |
4 | 31~ | 第4章のケーススダディでは、分流式2施設、分流式(一部合流)2施設の事例が取りまとめられているが、“合流式”の事例も追加で掲載をお願いしたい。 | 本技術資料では、共同研究にご参加いただいた3自治体とデータの提供を受けた1自治体の4処理場を対象にケーススタディを行いました。4処理場の内訳は、分流式2施設、分流式(一部合流)2施設となっており、合流式の施設は無く、ケーススタディも実施しておりません。 |
お問合せ先:資源循環研究部 | TEL:03-5228-6541 |