グリーンインフラ活用による下水道事業の推進に関する技術資料
概要
公益財団法人日本下水道新技術機構では、民間企業との共同研究を行い、部門別委員会、技術委員会において研究成果を審議し、研究成果を「グリーンインフラ活用による下水道事業の推進に関する技術資料」として取りまとめました。委員会における審議
共同研究期間:令和2年6月~令和4年9月 共同研究者:(株)NJS、(株)東京設計事務所、(株)日水コン、日本水工設計(株)、ベルテクス(株)、(株)トーテツ、(公財)日本下水道新技術機構【委員会における審議・指摘事項と回答・対応】
本共同研究について、各委員会における主な審議・指摘事項とその回答・対応を下記に整理する。
◆雨水対策共同研究委員会における主な審議・指摘事項と回答・対応
年度 | 回数 | 開催日時 | 主な審議・指摘事項 | 回答・対応 |
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R2 | 1 | 11月18日 | 下水道事業としての自治体でのグリーンインフラの位置づけについて | 第2章第2節「雨水整備とグリーンインフラに関するアンケート調査」において、下水道事業実施団体に対するアンケート調査より、下水道事業におけるグリーンインフラに対しての意識調査を実施。 |
下水道事業に偏らないグリーンインフラの多様な効果について | 第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、下水道事業に偏らない先進事例にヒアリング調査を実施。 | |||
2 | 2月16日 | グリーンインフラ施設の対象降雨の位置付けについて | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、雨水管理総合計画を見据えた対象降雨(計画降雨、照査降雨等)を設定し、浸水シミュレーションによる手法・手順とその効果を示す。 | |
他事業と連携している事例について(コミュニケーション手順やプロセスについての整理) | 第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、地域課題に対しての目標や維持管理まで含めた連携内容について、先進事例にヒアリング調査を実施。 | |||
実証実験の実施と評価方法について | 資料編「4.貯留浸透機能の定量評価のための実証実験」において、砕石槽による貯留浸透効果と樹木の有無や樹木種類の影響把握を目的に実証実験を実施。 | |||
R3 | 1 | 7月19日 | 実証実験で樹冠遮断を考慮する方法について | 資料編「4.貯留浸透機能の定量評価のための実証実験」において、散水方法を樹木よりも高い位置から散水する方法により実施。 |
浸透貯留のシミュレーションにおけるオンサイトやオフサイトのシナリオについて | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、オンサイト貯留だけでなく、オフサイト貯留も併用した検討を実施。 | |||
2 | 11月24日 | シミュレーションの降雨パターンやシナリオについて | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、浸水シミュレーションによる手法・手順とその効果を示す。 また、本研究で実施した実証実験において、本研究後も自然降雨等での計測を実施していく予定。 | |
グリーンインフラを導入するポテンシャルマップの作成について | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、グリーンインフラを導入する施設として、事業体が展開しやすい候補場所を整理したポテンシャルマップの作成例を示す。 | |||
シミュレーションによる貯留浸透効果の見せ方について | 第4章第4節「グリーンインフラの導入シナリオの設定」において、浸水面積の低減効果、満管状態の緩和効果、雨水流出量の低減率による効果を示す。 | |||
3 | 2月14日 | グリーンインフラの様々な副次的な効果の評価について | 第4章第5節「費用効果分析」において、グリーンインフラによる環境効果等の便益価値についての算定例を参考に示す。 | |
多様な主体との連携への後押しになる内容の記載の追加ついて | 第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、先進事例にヒアリング調査を実施し、その事例を示すとともに、今後の事業展開に向けての提案を示す。 | |||
R4 | 1 | 7月26日 | 浸水シミュレーションにおける精度誤差について | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、キャリブレーションの適切な実施、グリーンインフラ施設の設定パラメーターにおいての注意点を示す。 |
費用便益(B/C)の算出と環境価値における設定範囲について | 第4章第5節「費用効果分析」において、グリーンインフラによる環境効果等の便益価値について、既往の複数の研究を参照し、算出した便益には幅があることを算定例として参考に示す。 | |||
人工降雨実験における植樹の有無による効果の確認について | 資料編「4.貯留浸透機能の定量評価のための実証実験」において、区画ごとでの水の収支を図示し、植樹による影響と考えられる考察を示す。 |
◆技術委員会における主な審議・指摘事項と回答・対応
年度 | 回数 | 開催日時 | 主な審議・指摘事項 | 回答・対応 |
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R2 | 1 | 12月7日 | 超過降雨対策としての効果の示し方について | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、効果を定量化し、例として示す。 |
他事業連携における活用しやすいメニュー等の提示について | 他事業と連携する場合でも、下水道事業の推進として、浸水対策【防災・減災】を基本としており、第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、先進事例にヒアリング調査を実施し、導入のきっかけを分析した結果を示す。 | |||
R3 | 2 | 12月9日 | 定量評価の手法の確立について | 第4章「グリーンインフラ施設の雨水貯留・浸透効果の定量化」において、グリーンインフラ施設の導入シナリオや解析による効果の見える化の手順等を示す。 |
シミュレーション実施時のパラメーター設定について | ||||
3 | 2月28日 | 浸水対策効果以外での効果の示し方について | 第4章第5節「費用効果分析」において、グリーンインフラによる環境効果等の便益価値についての算定例を参考に示す。 | |
維持管理方法や浸透の長期効果と維持管理の見込みについて | 第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、維持管理方法について先進事例のヒアリング調査結果事例を示す。 また、資料編「2.グリーンインフラ施設の導入による浸水対策効果の定量評価事例」において、浸水シミュレーションの詳細な設定手順を示しており、設定時におけて参考にした技術資料等について、とりまとめて示す。 |
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R4 | 1 | 8月23日 | グリーンインフラに対する下水道部署の積極的参画方法について | 第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、先進事例のヒアリング調査結果事例を示す。 |
住民の理解推進について | 第3章「グリーンインフラに関する活用事例の分析」において、先進事例のヒアリング調査結果事例を示す。 |
◆パブリックコメント
意見募集期間:2022年10月17日~2022年10月21日
【意見と回答】
No. | 頁 | コメント | 機構からの回答 |
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1 | 321~323 | 掲載されている支援制度について、道路(植栽帯・歩道部)での整備においても、適用されるのかを明確化してほしい。 | 令和4年4月時点での本省資料を抜粋して掲載しているものであり、記載内容が変更されることがあります。そのため、詳細な事業内容については、各問い合わせ先に確認して頂きたいと考えております。 |
2 | – | 道路歩道下(植栽帯含む)の対策について、都市部では特に、上水道、下水道、CCBOX等地下埋設物が多くある中で、個々の布設条件を踏まえた布設対策事例や対策案はあるか。 | 本研究では、グリーンインフラの定量化を行うことを主な目的としており、具体的な配置計画まで踏み込んだ内容までは実施しておりません。 現時点では、公園等の新設やリニューアルなどにあわせて上部利用目的に影響のない範囲で、また、地下埋設物にも影響のないように、地下に砕石貯留浸透槽を設け、側溝等を介して街渠ます等から、雨水を取り込むことを想定しているものです。 |
※その他、ご指摘いただいた誤記等については適宜修正を行っています。
お問合せ先:研究第二部 | TEL:03-5228-6598 |