背景
近年の局所的豪雨や巨大化する台風は、地球温暖化がその原因の一つとされていることから、その要因となる温室効果ガス排出量の削減が急務です。こうしたなか、令和3年度に、国の地球温暖化対策計画が改定(2050年カーボンニュートラル宣言、2030年度46%削減目標等の実現)され、下水道においても、脱炭素化に向けたさらなる取り組みの推進が求められています。
水環境分野においては、下水道の全国的な普及により公共用水域の水質改善が図られてきましたが、近年では栄養塩類の過度な現象により閉鎖性水域の貧栄養化が問題となるなど、地域の事情に応じた柔軟な対応を検討する必要性も生じてきています。また、マイクロプラスチック等による地球規模の水環境の汚染も新たな問題として課題になっており、下水道においてもその挙動について調査し知見を得る必要があります。
さらには、新型コロナウイルス感染症は、依然として収束が見通せない状況ではありますが、下水に含まれるウイルスの検出による感染症の検知・予測など、下水道に流入する様々な情報を有効に活用するための技術開発が期待されています。
また先進国では、人口減少や高齢化が大きな課題となっており、わが国ではディスポーザや使用済みの紙オムツを加工処理して下水道内に取り込むことで、高齢者が元気に暮らせるまちづくりにも資する技術開発が行われており、下水道の持つポテンシャルに多くの期待が寄せられています。
下水道施設の運転に不可欠な資源・エネルギー問題、地球温暖化対策としての温室効果ガスの削減、健全な水循環・水環境の確保、さらにウイルス感染症の拡大防止、高齢化社会への貢献など、地球環境や生活環境を健全に保つための調査研究に取り組んでいます。
分野
● 地球環境対策技術
● 水環境対策技術
● 地域の資源循環への貢献技術
● 社会環境改善技術