www.jiwet.or.jp
/publicity/bridgingwithacademia/%e4%ba%ac%e9%83%bd%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e9%99%a2-%e4%ba%ba%e9%96%93%e3%83%bb%e7%92%b0%e5%a2%83%e5%ad%a6%e7%a0%94%e7%a9%b6%e7%a7%91%e3%80%80%e6%95%99%e6%8e%88%e3%80%80%e4%b8%ad%e5%b6%8b
筑後川昇開橋(福岡県)
大鳴門橋(兵庫県)
 

京都大学大学院 人間・環境学研究科 教授 中嶋 節子 様

広報

課題を解決し社会貢献に繋げる為には、研究開発や技術審査の成果等を下水道関係者をはじめ社会へ普及していくことが重要です。

京都大学大学院 人間・環境学研究科
 教授 中嶋 節子(なかじま せつこ)

第1回:門外漢ですが
 京都大学の中嶋と申します。建築の歴史とそれらが集まってかたちづくられる都市の歴史を研究しています。また、歴史的な建物やまちなみの保存・活用にも携わっています。
 工学建築系に属する専門分野のため、学問的バックボーンとしては建築学ですが、歴史学の手法も必要な複合的な研究分野といえます。
 実は大学進学時には建築家になりたいと思っていました。ところが、京都で過ごすうちに歴史的な建物やまちなみを読み解くことの楽しさに惹かれ、そのまま研究者になりまし
た。
 下水道については門外漢ですが、都市インフラという点で大いに関心をもっています。
 以後お見知りおきいただければ幸いです。
第2回:水路とまちなみ
 研究や行政の依頼で歴史的なまちなみを調査することがあります。その際、町家や農家、洋館といった建物の調査だけでなく、道路や水路、街区の形状、土地の高低差などまちの骨格を把握することがとても大切です。なかでも水路は、まちなみを読み解く重要な手がかりとなります。
 屋根から流れ落ちる雨水や雑排水は、まちがつくられた時代には効率的に水路に流す必要がありました。建物の向きや配置、屋根の掛け方、庭の形状などは水路によって規定される部分が少なくありません。
 まちを散策される際には、水路にも注目してみてください。
 隠されたまちの構造を発見することで、まちを歩く楽しみが増すこと請け合いです。
第3回:長浜城下町と水路
 滋賀県北部に位置する長浜の調査を15年ほど続けています。
 長浜は豊臣秀吉が築いた最初の城下町です。秀吉は生涯に大坂、伏見の城下町をつくりましたが、いずれも川や水路を巧みに配するところに特徴があります。
 長浜では米川という河川を取り込むとともに、街区中央に排水路、敷地の背割りには水路を通しています。こうした水路は、町の境界線としての役割を果たすとともに、1970年代頃まで洗い場や荷上場として使われるなど生活に欠かせないインフラでした。
 上下水道の整備、舟運の衰退によって、かつての用途は失われたものの、これらは現在も暗渠化されず、城下町の歴史を伝える美しい風景として残されています。
 機会があれば是非、訪ねてみてください。
第4回:琵琶湖疏水がつくる庭園文化
 京都の近代化を支えた土木事業といえば一番に琵琶湖疏水があげられます。舟運、灌漑、発電、上水道ほか多くの目的をかかげて、1890年に第一疏水、1912年に第二疏水が完成しました。
 疏水がもたらした恩恵のうち、あまり知られていないのが庭園の水としての利用です。平安神宮の神苑、山県有朋の無鄰菴ほか南禅寺界隈につくられた近代別荘群の庭園、ウエスティン都ホテルの佳水園などに疏水の水が引かれています。
 枝垂桜で有名な円山公園の瓢箪池もかつては疏水からの引水でした。京都の近代化のみならず、優れた庭園群をも疏水はつくりあげたのです。
 2018年に大津-京都蹴上間の疏水通船が本格的に復活しました。
 琵琶湖疏水を巡る京都の旅はいかがでしょう。
広報
ページトップへ