東京農業大学 農芸化学科
客員研究員 吉田 綾子(よしだ あやこ)様
- 第1回:自己紹介
- 東京農業大学の吉田綾子です。
世田谷キャンパスにある土壌肥料研究室所属の客員研究員ですが、北海道富良野市在住のタマネギ農家でもあります。
研究テーマは「土と肥料、有機系廃棄物の地域循環」、農家生活も十数年、野良仕事に勤しみつつ、「農地の土壌診断」や「ディスポーザー」の研究を継続しています。最近の富良野は、夏の高温、激しい雨、そして、今年の冬は雪が少ない!温暖化の影響を肌で感じています。
天気は変えられないけど、土づくりはできる!農業と下水道の連携は、農地(土壌)を守る取組みになると思っています。 - 第2回:土壌診断
- 土壌診断は、畑に穴を掘り土壌断面をみることから始まります。硬さや土性、粘性を触診後、作土層から分析用土壌を採取分析します。
そして、分析値を解説した「土壌診断表」を作成、農家に施肥改善を提案します。分析値をどう読むか、農家にどう伝えるかは重要な課題です。
現在、農家がわかる「土壌診断表」作成システムの開発に取り組んでいます。また、毎年、農家とのコミュニケーションを大切に、使っている肥料は?施用量は?生育は良好?などなど、根掘り葉掘りヒアリングしつつ、いくつかの農家グループの土壌診断を実施しています。 - 第3回:ディスポーザー
- ディスポーザー(DP)は、私と下水道を繋ぐ大切な研究です。
2003年~2005年国総研下水道研究室にて社会実験に参加し、地域循環を担う下水道の可能性に強い関心を持ちました。北海道への移住を機に、道内を中心にDP導入地域の実態調査を再開、以来継続しています。DPは高齢者や子育て世帯など様々な家庭でごみ出し家事を軽減、福祉効果が期待できます。
また、道内は、ヒグマ出没問題が深刻化、屋外の生ごみ(収集場やコンポスト)はヒグマの誘引原因です。DP導入により下水道は地域社会に安全を提供できるかもしれません。 - 第4回:下水道と農業
- 肥料が高い!農業者としての実感です。「土と肥料」に携わる者として、肥料原料の国内確保に、今こそ、真剣に取り組む時だと思います。下水汚泥は素晴らしい国内肥料資源です。
しかし、ほとんどの農家には届いていません。100%中国輸出だった生ごみ堆肥の国内利用拡大に携わってきましたが、生ごみですら流通の難しさを実感しました。利用拡大のカギは、農家の口コミと肥料原料としての肥料メーカーへの提供だと思っています。
下水汚泥の肥料化のカギは、下水道と農業の情報共有だと思います。私も自分事として情報発信に取組んでいきたいです。