東洋大学 理工学部 都市環境デザイン学科
教授 山崎 宏史(やまざき ひろし)様
- 第1回:自己紹介
- 東洋大学理工学部都市環境デザイン学科の山崎です。
私は、大学院卒業後、排水処理メーカーにて、排水処理に関する技術開発、製品開発に従事し、その後、財団にて、排水処理メーカーが作った浄化槽やディスポーザ排水処理システムの性能評価試験を担当してきました。
その間、ディスポーザを活用した排水処理システムに関する研究をテーマに博士(工学)を取得し、排水処理技術だけでなく、温室効果ガス削減、資源循環等も視野に入れた研究を実施してきました。
2015年に現在の大学に転職し、これまでの経験を元に、分散型排水処理を中心とした研究を進めています。 - 第2回:分散型排水処理とは?
- 日本における生活排水処理の中心は、各家庭や事業所等からの排水を集めて処理する下水道ですが、人口密度の比較的低い地域では、敷地内で生活排水を処理する「浄化槽」があります。下水道と浄化槽には、それぞれ特徴がありますので、効率よく組み合わせて整備・管理することが重要と考えています。
一方、下水道整備地域においても、汚水管に入る前の敷地内にて、業務用厨房からの油分を除去する「グリース阻集器」、ディスポーザを使用し各家庭からの生ごみ排水を処理する「ディスポーザ排水処理システム」等も、分散型排水処理と考え、研究対象としています。 - 第3回:分散型排水処理における研究対象
- 分散型排水処理施設は、各家庭や事業所等の敷地内に設置されるため、安価な技術の最先端を目指した研究が求められます。また、その技術開発の方向性も、排水処理だけでなく、温室効果ガス削減、資源循環、さらには、維持管理の高度化等にも対応していく必要があります。
一方、昨今、激甚化している災害への対応として、分散型排水処理施設が注目されてきていますので、これら施設の耐震化や、同じく分散型施設である受水槽や井戸水、太陽光発電、トイレ等と合わせて、災害時でもトイレの使用を可能とするシステムを検討していく必要があると考えています。 - 第4回:デジタル・グリーン人材を育成する
- 東洋大学では、2027年度に、環境社会問題の解決に向けた「環境イノベーション学部」(設置構想中)を川越キャンパスに開設予定としています。
人口減少に伴う労働者不足へ対応するためには、DXの推進が必要不可欠であり、また、業界や分野に関係なく、GXをはじめとした環境配慮への取り組みは重要な課題であると考えています。新学部ではこれらDX、GXといったメガトレンドに対応するべく、デジタル・グリーン人材を育成していこうと考えています。
この様な研究、教育を通じて、今後、排水処理分野で活躍する後進を育成していくことが、これからも当方の目標です。