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筑後川昇開橋(福岡県)
大鳴門橋(兵庫県)
 

鹿児島大学 水産学部 准教授 奥西 将之 様

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課題を解決し社会貢献に繋げる為には、研究開発や技術審査の成果等を下水道関係者をはじめ社会へ普及していくことが重要です。

鹿児島大学 水産学部
 准教授 奥西 将之(おくにし すぐる)

第1回:自己紹介
 鹿児島大学水産学部の奥西将之です。
 近畿大学農学部水産学科を卒業したあと、当時琵琶湖の近くに移って間もない立命館大学の理工学研究科で学びました。
 その後さらに鹿児島大学大学院連合農学研究科に移って博士号を取得しました。
 一貫して、微生物学の中でも微生物生態学といわれる研究分野をわたって今に至ります。
 大学3年生の終わり頃、研究室に配属されてはじめてフィールドサイエンスという分野があることを知り、アウトドア活動が好きだった私でも研究者になれるかもしれないと思ったのが研究の道に入ったきっかけでした。
 現在、鹿児島県内を中心にフィールドに出て水質調査などを実施しています。
第2回:赤潮研究の現状
 メインの研究対象の一つとして赤潮の研究に取り組んでいます。
 赤潮とは字のごとく海の色が変わる現象のことですが、その原因となっているのは微少な藻類(植物プランクトン)です。
 顕微鏡でのぞくとクルクルと動き回るこの微細藻類たちはかわいく感じることもありますが、養殖業が盛んな鹿児島では非常に深刻な問題です。
 現在我々の微生物学研究室では、海域で発生した赤潮原因微細藻類を海藻が持つ殺藻性能を利用してやっつけるというテーマに取り組んでいます。
 ビーカーの中で培養した微細藻類に乾燥したアオサを入れると数時間で全滅します。
 この知見を元にアオサを使った赤潮防除剤の実用化を目指している段階です。
 海は広大なので、一定の殺藻性を発揮するためには大量のアオサが必要になるため、いかに効率よく効果を発揮するかという点に苦労しています。
第3回:窒素成分を測る新しい技術
 赤潮の研究には微細藻類が増殖するために必要な窒素成分濃度を正確に計る技術が重要になります。
 ここでは窒素成分とはアンモニア態、亜硝酸態、硝酸態の窒素のことをいいます。
 これまでの既存の技術では硝酸を測るためにはカドミウムの還元力を利用して亜硝酸にしてから発色反応を利用して測定してきましたが、カドミウムの廃液が出てしまうことが問題でした。
 そこでビーエルテック株式会社が亜鉛の還元力を利用して亜硝酸態および硝酸態窒素を全てアンモニア態窒素に還元して測定するという画期的な装置を開発しました。
 現在、経済産業省の競争的研究費であるGo-Tech事業の支援を受けて鹿児島大学、ビーエルテック、東京都立産業技術研究センターの3機関で共同研究を進めながら実用化を目指しています。
第4回:鹿児島大学の役割
 水産学部が設置されている大学は日本には鹿児島大学の他には北海道大学と長﨑大学の3校しかありません。
 そのためか毎年140名程度入学してくる学生は北海道から九州まで全国からやってきてくれます。近年は鹿児島出身の学生さんは3割にも満たないぐらいです。
 学生は3年生の後期になると研究室を選択し、研究活動をスタートすることになります。
 我々の研究室では野外調査に出ることも多く、体力的には厳しいところもありますが興味を持って研究に取り組んでいます(と、信じています)。
 地方の国立大学は地域貢献を期待される割合も大きくなってきており、特に実学と言われる水産学の分野ではその比重も大きいと感じていますが、学生と共に研究ができる幸せを感じながら、成果を通して社会に貢献していきたいと奮闘しています。
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